ディーラーとは②
先日、現物株のディーラーが情報部に異動になりました。
その人は理論派で、特にテクニカル分析に強く、またファンダメンタル分析もいろいろな雑誌をみて研究していました。ただ、実際に相場を張るのは難しかったみたいですね。例えば、あるテクニカル指標では買いだが、国内の経済指標を見ると売りだとか、逆に企業の決算をみると買いだが、このテクニカル指標では売りなど・・・。以前”ディーラーとは”で、マーケットで成功するには”経験”と”勘”が必要と書きましたが、成功しているディーラーは”勝負度胸”がありますね。そこで、一流ディーラーがどのようにファンダメンタルやテクニカルを使っているのか、私の経験の範囲内で書いていこうと思います。
確かに、一流のディーラーの人たちもファンダメンタルやテクニカルは見ています。しかし、それは他の多くの人たちが見ているものしかチェックしておらず、例えばその人しか知らない秘密の情報や、ものすごいテクニカルチャートを使っているというわけではありません。ファンダメンタルでは、日銀短観やGDP,機械受注など現在マーケットに注目されている指標で、結果を予測するのではなく、発表後マーケットがどのように反応するのかをみています。また、テクニカルも多くのディーラーは25日移動平均線や、200日移動平均線など一般的なもので、その近辺に来たとき、一旦止まるかな、とかあっさり突き抜ければ雰囲気が変わったかな、とかそんな感じです。ただ私のような半人前のディーラーとの最大の違いは、ファンダメンタルやテクニカル、板の状況をみながら、”ここは勝負!”と思ったら、思い切って勝負にいきます。それは1つの要因ではなく、いろいろな過去の経験からこの相場はこうではないか(いわゆる勘ですね)と思ったら、大きな枚数で相場を張るのです。そしてもちろん、”あれ?”と感じた瞬間に損切りやヘッジを入れています。もうここらへんは理屈の世界ではありませんね。数秒の判断の遅れが100万円単位の損失につながるのです。これは瞬時の判断ですので、あれこれ説明できるものではありません。大きく買いのポジションを取っていたディーラーが5分後に売りのポジションになっていることなどざらにあります。多分、成功するディーラーはどんな分析手法を用いても勝つと思います。ただ、性格の問題で、ファンダメンタルが好きとか、テクニカルでは逆張りのオシレーター系が好きとか、そういった好みはありますが、”この方法を使えば絶対勝てる”といったものはないんじゃないでしょうか。ですから、ファンダメンタルやテクニカルは相場を張るための”サポート役”のようなもので、これらを一生懸命研究しても相場で勝つようになることは難しいでしょうね。それよりも実際に相場を張りながら、きちんと損切りをする技術だとか、”ここだ!”と思ったときは大きく勝負するとかそういったことが必要でしょう。そういった意味では相場はスポーツに近いところがあると思います。私はあまりスポーツは得意ではないのですが、一流のスポーツ選手は理論的なことももちろん知っていますが、なりよりも練習することが大事だと言っています。ただ、相場では模擬売買など実際に資金を張っていないと意味がないので、やはり日々相場に参戦し、そこから学び取るしかないのでしょう。私も裁定取引など理論が通用するところは研究していきますが、いわゆる”相場を張る!”といったことをもっと行っていかなければ、月間1000万円稼ぐことは絶対に無理でしょうね。
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